2000年代に入ってからミュージカル音楽映画の名作が数多く公開されている。
もちろんそれ以前にも『サウンド・オブ・ミュージック』(65)や『雨に唄えば』(52)といった名作が公開されており、数えればきりがないが、現在の私たちが観ることによって、より素晴らしいと感じられるのはこれから紹介する作品であるに違いない。
それは私たちに馴染みのある曲調の音楽が多用されてるからでもあるだろう。
特に、『レ・ミゼラブル』(12)以降はミュージカル・音楽部門の映画が一層盛り上がり、日本でも大ヒットの連続であった。
果たして2020年代に突入したわけだが、これからも数々のミュージカル・音楽映画が公開されることは間違いない。
その前にこれまでの作品を復習してみるのは、いかがだろうか。
今回紹介する作品を公開順に並べると以下である。
これらを分かりやすいようにジャンルに分けて紹介する。大きく分けるとミュージカル映画と音楽映画である。
今回紹介する映画
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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』2000
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『スクール・オブ・ロック』2003
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『ONCE ダブリンの街角で』2007
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『ヘアスプレー』2007
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『マンマ・ミーア!』2008
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『レ・ミゼラブル』2012
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『はじまりのうた』2013
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『アニー』2014
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『ジャージー・ボーイズ』2014
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『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』2014
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『セッション』2014
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『ラ・ラ・ランド』2016
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『シング・ストリート』2016
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『グレイテスト・ショーマン』2017
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『ベイビー・ドライバー』2017
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『アリー/スター誕生』2018
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『ボヘミアン・ラプソディ』2018
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『ロケットマン』2019
ミュージカル・音楽映画をジャンルに分けて紹介

出典:SONY PICTURES公式サイト
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まずはミュージカル・音楽映画に分けるのだが、ここではセリフを音楽・歌詞に乗せて物語が進み、踊ったりするものをミュージカル映画、それ以外の音楽が物語の重要な要素となっているものを音楽映画とする。
このように分けるとミュージカル映画は以下の7作品だ。
ミュージカル映画
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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
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『ヘアスプレー』
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『マンマ・ミーア!』
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『レ・ミゼラブル』
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『アニー』
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『ラ・ラ・ランド』
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『グレイテスト・ショーマン』
そして、音楽映画については以下の11作品である。
音楽映画
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『スクール・オブ・ロック』
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『ONCE ダブリンの街角で』
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『はじまりのうた』
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『ジャージー・ボーイズ』
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『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
-
『セッション』
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『シング・ストリート』
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『ベイビー・ドライバー』
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『アリー/スター誕生』
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『ボヘミアン・ラプソディ』
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『ロケットマン』
ここからは、ミュージカル映画・音楽映画をそれぞれさらに分かりやすいよう5つに分けて紹介していく。
ジャンル分け
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楽しい盛り上がるミュージカル映画
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しんみり少し悲しいミュージカル映画
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青春音楽映画
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実話をもとにした伝記音楽映画
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恋愛音楽映画
気分に合わせて鑑賞する作品を選んで欲しい。
1.楽しい盛り上がるミュージカル映画
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『ヘアスプレー』
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『マンマ・ミーア!』
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『アニー』
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『グレイテスト・ショーマン』
『ヘアスプレー』(2007)
あらすじ
物語の舞台は、未だ黒人差別が色濃く残る1962年のアメリカ合衆国はボルチモア。トレイシーはぽっちゃり体型ではあったもののダンスとおしゃれが大好きで、彼女の夢はティーンに人気なダンス番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出演し、憧れの人気ダンサー、リンクと踊る事だった。
ある日新メンバーのオーディションを行うことを耳にしたトレイシーは一生に一度のチャンスと考え参加することになるのだが…。
予告編
おすすめポイント
本作は1988年のジョン・ウォーターズ監督のオリジナル同名映画を元にした2002年のミュージカル劇の映画化という少し複雑な経緯ではあるが夢や希望をもらえる最高の青春ミュージカル映画である。
ダンスとおしゃれが大好きなぽっちゃり体型のトレイシーは『コーニー・コリンズ・ショー』に出演し憧れの人気ダンサー、リンクと踊ることを夢見ている。
本作、そして彼女をを観ているだけでパワーが体からあふれてくるくらい元気をもらえる。
ちなみに主演のジョン・トラボルタは特殊メイクによって体系を変化させている。
『マンマ・ミーア!』(2008)
あらすじ
物語の舞台はギリシャ・エーゲ海に浮かぶ小さな島。ソフィとその母は二人で仲良く暮らしていた。
結婚式が明日に迫ったある日、ソフィは母がかつて3人の男と交流があり、その3人のうちの誰かが自らの父親であることを知る。
予告編
おすすめポイント
本作のみどころはソフィとその母の楽しげな人生はもちろんのこと、その友人や様々な愉快な登場人物がこれでもかというくらい元気をくれるところだ。
映画を観ているだけでこっちまで楽しい気分にさせてくれる。
それもそのはず、本作では世界的にも有名なABBAの楽曲をベースとした最高の音楽の数々が物語を彩っている。
ヒット曲である「Mamma Mia」にのせて踊るシーンでは物語が最高潮の盛り上がりをみせる。
ちなみに本作の撮影地はエーゲ海に浮かぶスコぺロス島という場所で非常に美しい景観が特徴的。一度は訪れたい映画ロケ地の一つだ。
『アニー』(2014)
あらすじ
10歳の少女アニーは小さいころに両親からレストランで置き去りにされ、孤児になった過去があった。いずれ迎えに来てくれるという事を信じ続け彼女は毎週置き去りにされたレストランに通っていた。
そんなある日、車にひかれそうになったところを携帯会社の社長スタックスに助けられる。
予告編
おすすめポイント
『ANNIE/アニー』は人気ミュージカルの物語の舞台を現代に移して描いた映画で、本作が3度目の映画化である。
4歳の時、レストランで両親から置き去りにされ孤児になったという境遇にありながら、それを感じさせないくらい前向きな少女アニーに誰もが勇気づけられる。
特に劇中音楽は素晴らしく切ない雰囲気や楽しい雰囲気に非常にマッチしている。
子どものかわいらしい歌声と希望に満ち溢れた無邪気でまっすぐな歌詞に心が癒されること間違いなしだ。
『グレイテスト・ショーマン』(2017)
あらすじ
妻と娘と暮らしていたバーナムは職を転々としながらも幸せな生活を送っていた。しかしある日、勤めていた会社が倒産し、解雇されてしまう。
行き詰ったバーナムは沈没した船を担保に資金を集め「バーナム博物館」をオープンさせるのだが…。
予告編
おすすめポイント
本作はミュージカル映画といえども、P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)という実在した興行師を描いており、伝記映画の一種であるといえる。
P・T・バーナムが成功した頃のアメリカ合衆国は各地からの移民によって市民に混乱が巻き起こっていた時期であった。特に彼が成功したニューヨークではギャングたちの抗争によって大荒れであった。
このころの様子を描いたマーティン・スコセッシ監督の映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』では劇中、一瞬だが「Barnum's American Museum」が登場する。
『グレイテスト・ショーマン』の一番のみどころはバーナムが成功する過程も1つだが、やはり劇中の音楽である。
ミュージカル映画では非常に重要である歌曲の部分で観客の心をしっかりとつかんでくる。特に「The Greatest Show」「This Is Me」が流れるシーンは最高に盛り上がるのでおすすめだ。

2.しんみり少し悲しいミュージカル映画
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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
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『レ・ミゼラブル』
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『ラ・ラ・ランド』
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)
あらすじ
物語の舞台はアメリカ合衆国のとある町。主人公セルマは工場で働き、生活が苦しいうえに徐々に視力を失っていく中で暮らしていた。
先天性の病が息子に遺伝し、その治療費をコツコツとためていた彼女であったが、ある日、思いもよらない不幸が降りかかる。
予告編
おすすめポイント
鬱映画として取り上げられることもしばしばある本作だがミュージカル映画の域を超えて非常に見る価値の高い映画のひとつである。
特に、カンヌ国際映画祭では絶賛され最高賞パルムドールを受賞しその素晴らしさは保証されている。死ぬまでに一度は観て欲しい作品だ。
最大のみどころは主人公セルマの歌声と素晴らしい楽曲の数々だ。
それもそのはず、セルマを演じたのは日本でもその美しく、特徴的な歌い方で有名なビョークである。
彼女は徐々に視力を失っていく病を患っているうえに上にいくつもの災難が降りかかるという悲しい物語ではあるが心に残る一生ものの映画となるに違いない。
『レ・ミゼラブル』(2012)
あらすじ
パンを盗んだだけの罪で19年間服役したジャン・バルジャンは釈放後に再び盗みをしてしまうものの、罪を見逃してくれた司教に感銘を受け、改心する。
ある日運命的な出会いを果たしたファンティーヌから娘コゼットを託される。
予告編
おすすめポイント
2010年代のミュージカル・音楽映画の日本でのブームの火付け役となったのが本作『レ・ミゼラブル』だ。
元々はミュージカルとして、非常に高い評価を得ていた物語であるが、映画化された本作も世界的に大ヒットを記録するなど大成功を収めた。
子どもたちのためにパンを盗んだだけで、20年近くも投獄されたジャン・バルジャンという一人の男とそこから繰り広げられる胸の張り裂けそうになる物語は今となってはあまりにも有名である。
ジャン・バルジャン、ファンティーヌ、コゼットといった主要登場人物のたどる人生を前に、そして歌にのせられた彼らの心の叫びに、きっと誰もが涙するに違いない。
『ラ・ラ・ランド』(2016)
あらすじ
女優になることを夢見るミアはオーディションを受けては落ちる生活を送っていた。
そんなある日、偶然通りかかった店の中から聞こえてきた音楽に惹かれ、店へと足を踏み入れる。演奏していたのはジャズピアニストのセブであった。
予告編
おすすめポイント
『ラ・ラ・ランド』といえば、日本ではアカデミー賞の季節に大ブームを巻き起こしその熱が冷めぬまま、今では最も人気なミュージカル映画としての地位を築き上げたことが記憶に新しい。
本作のみどころは、物語の一つのテーマでもある「夢」を追いかけることの素晴らしさと、「運命」という一見羨ましく感じるものの残酷さをリアルに描いているところである。
また、季節に追われながら人によってはこの上ない切なさを感じることも重要なポイントである。
非常によくできた脚本としても有名であるが本作の脚本・監督を担当したのはデイミアン・チャゼルで後ほど紹介する『セッション』も有名だ。
ちなみに本作のタイトルである「la la land」には「ロサンゼルス」や「現実離れしている状態」といった意味がある。
ラスト30分、きっと何か感じるもの、心に訴えかけてくるものがあるはずだ。

3.青春音楽映画
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『スクール・オブ・ロック』
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『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
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『セッション』
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『シング・ストリート』
『スクール・オブ・ロック』(2003)
あらすじ
ロックンローラーのデューイはその熱すぎるロック魂によってバンドをクビになっていしまう。
そんなある日、彼のもとに厳格な校風を持つ学校での臨時教師の話が舞い込む。
予告編
おすすめポイント
青春音楽映画として間違いなく上がるタイトルが本作『スクール・オブ・ロック』だ。
ロック魂に満ち溢れているものの、売れないミュージシャンが凝り固まった小学生にロックを通じて目覚めさせるストーリは最高以外の何物でもない。
特に売れないロックンローラーであるデューイ・フィンを演じたジャック・ブラックの陽気で愉快な演技は非常に高く評価されている。
彼の熱い演技力によって、本作の物語に深みが出たことは間違いないからだ。
ロックを求めて一度観てみてはいかがだろうか。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(2014)
あらすじ
物語の舞台はスコットランドはグラスゴー。拒食症の治療のために入院している少女イブはある日、病院を抜け出してライブハウスへと足を運んだ。
そこでイヴはジェームズと運命的な出会いを果たすのである。
予告編
おすすめポイント
もしかしたら本作はあまり知られていないかもしれない。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』の存在を初めて知ることができたならその人は幸運だし、そしてこれから観ることができるという事が本当に羨ましい。
本作では音楽を通じた出会いや別れ、日常の変化が非常にうまく描かれている。
監督はスチュアート・マードック。
彼はロックバンド「ベン・アンド・セバスチャン」のボーカルで彼のソロアルバムの歌曲が本作の原作となっているという少し特殊な作品ではあるが、サンダンス映画祭で審査員賞を受賞するなど高く評価されている。
独特の雰囲気を感じずにはいられないが、音楽を愛するものならきっと好きになる何度でも観たい物語だ。
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終わってみると平凡なストーリーであったものの、青春音楽映画というジャンル内で鑑賞してみるとなかなか見応えのある作品となっていました。 『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は1990年代に結成されたベン・アン ...
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『セッション』(2014)
あらすじ
バディ・リッチのような偉大なジャズドラマーになる事を夢見るアンドリュー・ニーマンはアメリカ最高峰の音楽学校、シェイファー音楽院に通っている。
そんなある日、アンドリューが教室で1人ドラムを叩いていると、学院最高の指導者と名高いテレンス・フレッチャーと出会う。そこから二人の間の狂気的な師弟関係が始まるのであった。
予告編
おすすめポイント
本作を一言で表すなら「狂気」ではないだろうか。それ以外の一言は見つからない。
初めて観た時は、冷や汗が出るほどの緊張感を感じ、固まってしまったことを今でもはっきりと覚えている。それくらい衝撃的な作品だ。
本作が先ほど紹介した『ラ・ラ・ランド』と同様、デイミアン・チャゼル監督の作品であることを知ると多くの人が驚くだろう。
『セッション』の最大のみどころは偉大なジャズ・ドラマーになることを夢見るアンドリュー・ニーマンと最高の指導者として知られるテレンス・フレッチャーとの関係性である。
彼らの練習と指導にはアクション映画さながらの迫力がある。
特に、フレッチャーを怪演したJ・K・シモンズの狂気的な演技は高く評価され、その年のアカデミー賞助演男優賞を受賞した。この他、編集賞、録音賞を受賞している。
狂気に満ち溢れ、血の滲むような最高の一本。絶対に見逃せない。
『シング・ストリート』(2016)
あらすじ
物語の舞台は1985年のアイルランドはダブリン。両親の都合によってシングストリート高校に転校することになったコナーは、日々のストレスを発散するかのようにポップ音楽にのめり込んでいった。
ある日コナーは校門の前に立つ一人の少女ラフィーナに一目惚れをしてしまう。
予告編
おすすめポイント
本作は近年の若い映画ファンから非常に好まれる作品という印象がある。
青春音楽映画で最も重要なのは音楽を通じてどのように出会い、変化し、別れていくのかである。
そこでは「何と、何が」も重要であるがそれらをひっくるめて『シングストリート』は本当によくできた青春音楽映画である。
ちなみに本作の監督はジョン・カーニー。
これから紹介する『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』の監督も務めている。
『シングストリート』ではジョン・カーニー監督自身が過ごしたダブリンでの青春時代をもとに物語が描かれている。
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4.実話をもとにした伝記音楽映画
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『ジャージー・ボーイズ』
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『ボヘミアン・ラプソディ』
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『ロケットマン』
『ジャージー・ボーイズ』(2014)
あらすじ
物語の舞台はニュージャージー州の田舎町。トミー・デビートとニック・マッシは警察の世話になる事ばかりをしていたが、一方でバンドを組み、フランキー・ヴァリの歌声に惹かれていた。
彼らはその歌声を武器に一躍スターへとのし上がっていくのであった。
予告編
おすすめポイント
本作はトニー賞受賞のミュージカル『ジャージー・ボーイズ』をクリント・イーストウッドによって映画化したものである。
1960年代に人気を博したフランキー・ヴァリがボーカルを務めたフォーシーズンの繁栄から衰退までを描いており時代背景も強く感じる作品である。
日本では「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」が非常に有名である。
ちなみに、俳優となる以前の若き日のジョー・ぺシが本人として本作に出演しているが、そのあたりも時代を感じさせる映画だ。
『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)
あらすじ
物語の舞台は1970年代のロンドン。移民差別などを受けながらもフレディー・マーキュリーは音楽に没頭していた。
そんなある日、ボーカルが脱退したというブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンドに自らを売り込む。
予告編
おすすめポイント
日本でも社会現象的なヒットを記録した映画『ボヘミアン・ラプソディ』。
伝説のロックバンド「Queen」の主にボーカルフ:レディ・マーキュリーに焦点を当てて描かれた作品だけに、必然的にヒットした映画ともとらえられるが、本作にはそれ以上の何かがあったことは間違いない。
彼らがどのようにロックの世界で生き、どのように奏でたのか本作を観ればその真実と素晴らしさに近づくことができるかもしれない。
「Queen」の残したロックンロール魂はこの先も人々を引き付けることを『ボヘミアン・ラプソディ』は間違いなく証明した。
『ロケットマン』(2019)
あらすじ
依存症を治すためのセッションに参加しているのはド派手な衣装をまとったエルトン・ジョン。
彼はフラッシュバックに苦しみながらも、自らの人生を振り返るように物語るのであった。
予告編
おすすめポイント
本作はエルトン・ジョンの半生を描いた伝記音楽映画だ。
演じたのはタロン・エガートンでエルトン・ジョン本人も認めるほどの高い歌唱力を本作で見せつけた。
『ロケットマン』のみどころはエルトン・ジョンの半生を振り返ると同時に振り返ることのできる伝説的な音楽の数々はもちろんの事、彼が一体どのような人物であるのかを振り返ることができるという部分である。
派手な衣装と、人々を熱くさせた音楽の裏にどのようなドラマがあったのか、それを知ることは非常に価値があることである。
彼の人生のドラマを知ることで、人生を含めたエルトン・ジョン自身をもっと好きになるに違いない。

5.恋愛音楽映画
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『ONCE ダブリンの街角で』
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『はじまりのうた』
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『ベイビー・ドライバー』
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『アリー/スター誕生』
『ONCE ダブリンの街角で』(2007)
あらすじ
なかなか成功をつかむことのできないストリートミュージシャンの男性は、ある日花を売る女性と出会う。
男が掃除機の修理をしていることを知った女は、自らの壊れた掃除機の修理を依頼する。
予告編
おすすめポイント
本作はジョン・カーニー監督の知名度を上げた最高の音楽映画うちの一本だ。
彼の育ったアイルランド・ダブリンを舞台に繰り広げられるラブストーリーに心温まること間違いない。
劇中音楽の評価も非常に高く、主題歌の「Falling Slowly」はアカデミー賞歌曲賞を受賞したほか、サウンドトラックはグラミー賞にノミネートされている。
音楽だけでもこれだけ評価の高い映画、ストーリーと合わせてさらに心を揺さぶるはずだ。
『はじまりのうた』(2013)
あらすじ
イギリスからニューヨークへとやってきたシンガーソングライターのグレタは、恋人と別れ、失意の中でライブハウスへと足を運んだ。
無理やりステージに上がった彼女だったが、その歌声を偶然耳にした音楽プロデューサーの目に留まる。
予告編
おすすめポイント
2作続けてこちらもジョン・カーニー監督の作品だ。
本作は非常に落ち着いた作品であるという印象が強いが、それは序盤の心休まる歌唱から物語が始まるからかもしれない。
音楽を通じた心温まる印象的な場面が多いだけに本作をお気に入りの映画としてチョイスする人も少なくない。
先ほどの『シング・ストリート』でもそうだが、本作の主題歌をマルーン5のアダム・レヴィ―ンが担当しており彼は映画に出演している。
ちなみに主題歌はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされている。
『ベイビー・ドライバー』(2017)
あらすじ
ある日、ベイビーが車の中で音楽に夢中になっている間に3人組の男女が銀行に押し入った。
そしてそのまま彼の車で逃走する。音楽によって研ぎ澄まされた精神によって華麗なドライビングテクニックを見せ、警察はベイビーの運転する車を捕まえることに失敗してしまう。
予告編
おすすめポイント
本作は凄腕ドライバーが犯罪に加担する映画で音楽映画ではないという意見もあるかもしれないが、音楽の要素が強いうえに、音楽の持つすばらしさを実感できるという点から恋愛音楽映画として紹介する。
本作が愛される理由として、そのいかしたサウンドトラックが挙げられる。
音楽に合わせて精神を研ぎ澄まし凄腕を発揮する主人公にのせられて、非常にテンションの上がる映画である。
本作を観た後は無性にイヤホンをつけてお気に入りの音楽を聴きたくなる。
『アリー/スター誕生』(2018)
あらすじ
歌手として有名だったジャクソン・メインは酒とドラッグに溺れる日々を送っていた。
ある日バーに立ち寄ったジャクソンはそこで歌うアリーの歌声に心揺さぶられる。
予告編
おすすめポイント
本作は、実は3度目のリメイク作品である。
主演はブラッドリー・クーパー、レディ・ガガで、ブラッドリー・クーパーは本作で監督も務めている。
タイトルの通りスターダムを駆け上がるアリーの栄光が描かれるがその影もしっかりと描かれている。
恋愛音楽映画としての物語の評価が非常に高いのはもちろんの事、劇中音楽の評価も高く、映画と同時に音楽も大ヒットを果たした。最高の一本だ。