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【感想・考察】映画『レヴェナント‐蘇えりし者‐』ラスト結末で伝えたかった事とは※ネタバレあり

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20世紀FOX

映画『レヴェナント-蘇えりし者-』は2015年に公開されたアメリカ合衆国の映画でゴールデングローブ賞やアカデミー賞において数々の賞を受賞した非常に評価の高い映画です。

主演はレオナルド・ディカプリオでトム・ハーディが共演しています。監督は『バードマン あるいは
(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でもアカデミー賞を受賞しているアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。

映画『レヴェナント』ではレオナルド・ディカプリオがアカデミー賞主演男優賞、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥは監督賞を受賞しています。

また、『レヴェナント』の劇中音楽の作曲は日本人の坂本龍一が担当しており本作品において受賞には至りませんでしたが、ゴールデングローブ賞作曲賞にノミネートされています。

それでは映画『レヴェナント-蘇えりし者-』に関する様々な疑問点を深く掘り下げていきましょう。

映画『レヴェナント』のラストが衝撃!あらすじと基本情報を紹介

【あらすじ】

1823年、毛皮ハンターの一団はアメリカ西部の未開拓地を進んでいた。隊長のヘンリーを先頭に、ガイド役のヒュー・グラスとその息子のホーク、そしてグラスに対して敵意を抱いているフィッツジェラルドたち一行だったが、ある時、先住民に襲撃され多くの犠牲者を出す事態に。生き残ったグラスたちは危険な川を避け、船を捨てて陸路で砦に戻ろうとするが、グラスは巨大な熊に襲われて瀕死の重傷を負ってしまう。

隊長のヘンリーは余命わずかに見えるグラスを残して行くことを決断。息子のホーク、金に釣られて居残ることにしたフィッツジェラルド達にグラスの最期を看取るよう命じるが……。

引用元:20世紀FOX

【基本情報】

〈キャスト〉

ヒュー・グラス:レオナルド・ディカプリオ

ジョン・フィッツジェラルド:トム・ハーディ

アンドリュー・ヘンリー隊長:ドーナル・グリーソン

ジム・ブリジャー:ウィル・ポールター

監督・脚本・製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ

撮影監督:エマニュエル・ルベツキ

音楽:坂本龍一 アルヴァ・ノト

 

本作品は先ほども紹介したように非常に高い評価を受けており、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞含む幾つもの賞を受賞しています。

特にラストにレオナルド・ディカプリオの演じた表情が非常に印象的で同時に衝撃を受けました。

映画『レヴェナント』キリスト教との関係

映画『レヴェナント』はキリスト教と深い関わりを持った作品とされています。

劇中にはグラスが死にかけているときに見た幻想にキリスト受難の画が描かれた壁面が少し残るくらいで崩れてしまった教会が登場します。

鐘が存在するため、キリスト教の教会と見て間違い無いでしょう。

崩れた教会はグラスの受けた数々の受難の現れだとされており、キリストを信じる心を失いかけていることが示されています。

また劇中では

「復讐は神に委ねられた。私にではない。」

というキリスト教のパウロが語った言葉と近しい意味の言葉が登場します。

映画『レヴェナント』は実話?評価と共に解説

結論から言うと、映画『レヴェナント』は実話を基にして描かれた作品です。

つまり、この作品は実際に存在した人物ヒュー・グラスのことが描かれています。

【レヴェナントの元となった実話】

1822年から1825年頃に当時の北アメリカ西部の未開地で毛皮を集める罠猟師の部隊が結成されました。グラスが参加したのはこの罠猟師部隊の2回目の遠征でこの部隊は1923年の5月にアリカワ族の戦士たちに襲撃されます。

当時この部隊は

「毛皮貿易を目指しミズーリ川を船でさかのぼる探検隊の参加者100名公募」

という募集によって結成されました。

アリカワ族に襲われ、何とか逃げ切った者たちは再び襲われることを恐れ陸路での移動を決定しました。

その年の8月、グラスはパーキンス郡グランド川の支流の近くで食糧にする獲物を探している際にハイイログマに襲われてしまい重傷を負い意識を失います。

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仲間の助けもあり、何とか命拾いするも隊長のアシュレーは命を落とすと判断しグラスが息を引き取るのを見届けて埋葬する者をふたり募り、ジム・ブリッジャー (当時19歳) とフィッツパトリック (当時23歳) が名乗り出ました。

2人は不運にもアリカラ族に襲われたためグラスの銃と旅の道具を盗みその場から立ち去り、部隊にはグラスは死んだと報告し合流します。

その後グラスは生き延びるために這いつくばり、草の根や野生のバイソンを捕まえ、6週間かけて生還しました。

こちらはヒュー・グラスの実際の物語を掲載した1922年の新聞です。

出典:Wikipedia

【レヴェナントの実話と異なる点】

〈季節〉

映画『レヴェナント』では極寒の冬が描かれていますが、実話では夏です。映画ではより過酷な状況が描かれています。

〈グラスの設定〉

映画ではグラスの息子や妻が存在しますが実際には存在せず、これは先住民の妻と主人公グラスの間に生まれた子を白人に殺されたという状況を作り近年アメリカで広まる先住民への敬意や重要視する風潮に配慮したメッセージ性を与えるためだと言われています。

〈話の内容〉

映画『レヴェナント』ではフィッツジェラルドとブリッジャーがグラスをただ単に見捨てたことになっていますが、実際には本当にアリカラ族に襲われそうになり、2人は逃走しました。

また実話ではグラスはフィッツジェラルドを殺害しておらず銃を奪い返したのみでした。

 

映画『レヴェナント』の撮影はいかにして行われたのか

 

映画『レヴェナント』ラストで伝えたかった事とは

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映画『レヴェナント-蘇りしもの-』の公開時のキャッチフレーズは

復讐の先に、何があるのか

です。

映画ではラストに息子の命を奪い、自分自身も見殺しようとしたことに対する復讐としてフィッツジェラルドを殺したグラスが泣きそうなのかどんな表情かもわからない、すべてを失ったような表情をしていました。

妻を亡くし、息子も殺されたグラスはフィッツジェラルドを追跡する際に失うものは何もないと話していました。

フィッツジェラルドに「復讐のために来たんだろ?楽しんでるか、グラス?何をしたっておまえのガキは戻っては来ねえぞ」と虚をつかれるもグラスは、復讐のために人を殺め、キリストを信じる心も失った彼には何も残らず、無となってしまったのです。

復讐の先に、何があるのか

その答えはグラスの最後の表情が語っていました。

それは、

「復讐しても何も残らない」

というシンプルなことです。

 

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Mr.Pen

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