MOVIE

『ジョーカー』『万引き家族』『パラサイト』格差社会や貧困がテーマの映画が「今」評価される理由。

スポンサーリンク

昨今の映画業界では格差社会や貧困をテーマに描いた作品が評価されていることを皆さんはご存知だろうか。昨年、日本でも大ヒットを記録した『ジョーカー』も貧困、格差社会が大きなテーマとして描かれている。

なぜこのような作品がヒットし、国際的な映画祭でも評価されるのだろうか。

格差社会・貧困がテーマの作品が評価されヒットする理由とは

ここ数年の映画祭では格差社会・貧困をテーマに描いた作品が評価されている。特に、カンヌ国際映画祭ではその傾向が顕著に現れているのだ。

  • 『わたしは、ダニエル・ブレイク』2016
  • 『万引き家族』2018
  • 『パラサイト 半地下の家族』2019

上記の3つの作品はカンヌ国際映画祭にて最高賞パルムドールを受賞している。『わたしは、ダニエルブレイク』はあまり知られていない作品であるが、貧困がテーマの作品だ。そして、是枝裕和監督の『万引き家族』は日本でも大きな話題を呼んだ。また、『パラサイト 半地下の家族』はカンヌ国際映画祭の他、ゴールデングローブ賞では外国語映画賞を受賞、アカデミー賞では作品賞、国際長編映画賞の他6部門にノミネートされる大注目の作品となっている。

そして何より2019年に大ヒットを記録した『ジョーカー』も人々を笑顔にしようと奮闘する青年が格差社会、貧困といったことが直接的な原因となり、狂気に満ちた悪役ジョーカーへと変貌する様子を描いている。

このように格差社会・貧困がテーマの映画が世界で評価、ヒットする要因は一体何なのだろうか。

リーマンショック以降、格差社会が表面化

リーマン・ショック以降、格差社会が深刻になり、人々の間に格差の意識が急速に広まったと考えられている。

上位1%の富は残りの99%の富を上回る

この事実を知るものはどのくらいいるのだろうか。この事実を知らずとも格差を実感しているものは増えていると考えられる。

格差社会・貧困がテーマの作品がヒットする要因の一つに、「世界中の人々の意識」があると考えられる。貧困や格差を多くの人々が意識し、実感しているからだ。

『万引き家族』では貧困に苦しむ家族が家族ぐるみでスーパーで万引きを行い、さらには年金の不正受給などが描かれている。是枝監督は実際に2010年、東京都内で111歳相当の男性の白骨化遺体が発見され、その後家族は死亡届を出さないまま年金を長年にわたり不正受給していたことが発覚して逮捕された事件を元に本作の製作をしたそうだ。つまり、貧困をテーマにした本作は社会で実際に起こっいる出来事が直接映画に反映されているため、人々の共感を呼ぶのだ。

また、『パラサイト半地下の家族』では富裕層と貧困層という明確な格差をテーマに物語が進行していく。貧困層が富裕層に寄生(パラサイト)し富を吸収していくお話だ。最終的には富裕層は富裕層のまま、貧困層は貧困から脱却することはできないのだという明確な結果となり、強いメッセージ性を実感した。

映画『パラサイト半地下の家族』ネタバレ【ラスト考察】貧困と富裕の格差がぶつかることで伝えたかった社会へのメッセージを解説。

本作はコメディ要素を混ぜつつも、貧困層が一向に状況を改善することのできない現在の社会の現状を痛烈に批判していると考えられる。

このように社会の現実的な問題である格差や貧困をテーマにした物語は人々に共感を呼ぶことは明らかで、どちらの作品も貧困層目線で描かれていることが大きなポイントでもある。

また、『ジョーカー』も貧困層目線で描かれた作品だ。貧困層である青年アーサーは貧困層が社会から見捨てられている現実を狂気ジョーカーとして明確に訴えている。

日本での格差は深刻。巨大新興国、途上国でも格差が明白に。

世界3位の経済大国で先進国でもある日本での経済格差も深刻だ。2015年に発表されたデータでは日本国民の15.6%が貧困であるということがわかっている。(このデータでは日本人1人当たり可処分所得は年間245万円だがこの半分かそれ以下しかないものを貧困としている)

36か国の先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の2017年の調査によると上位10%と下位10%の賃金の差は日本がワースト5位。1位は『パラサイト 半地下の家族』で話題の韓国で、その差は4.3倍だった。韓国での格差の意識が強いのも理解できる。

このように先進国での社会格差も深刻であるのだ。

先進国の貧困は言うまでもなく相対的貧困のことであるが途上国や新興国で根強いのが絶対的貧困である。2つについて簡単に説明すると以下である。

絶対的貧困:人間として最低限の生存を維持することが困難な状態
相対的貧困:その国の文化水準、生活水準と比較して困窮した状態

こうしてみると、冒頭に紹介した『万引き家族』『パラサイト半地下の家族』『ジョーカー』『わたしは、ダニエル・ブレイク』で描かれたのは相対的貧困であることは明白だ。貧困層が這い上がれない現状を訴えた作品を観にいくのは相対的貧困の広がる国の映画を観に行けるくらい経済的余裕のある人であると考えると何とも皮肉だ。しかし、そういった人たちがこのような映画を観にいくことで少しでも貧困について考える機会が増えると言う点ではこのジャンルの映画が評価されることには意義があると考えられる。

『万引き家族』や『パラサイト 半地下の家族』を観たものたちが何かを感じ、気づかされるのも納得だ。やはり、再認識や共感性と言うものは映画にとって重要なようだ。日本に貧困層はいないというような考え方は間違いで、そうした間違いに気づかしてくれるのがこれらの映画である。

先進国は自国の相対的貧困の割合を減らすことも重要だがこれからの時代、絶対的貧困についてどう向き合うかも重要である。

途上国や巨大新興国に多いのが絶対的貧困であるが果たして彼らにスポットライトは当てられているだろうか。相対的貧困が広がる国においてその国の人がその類の映画を観に行き、知った気になってはいないだろうか。

ここで忘れてはならないのは先進国と途上国の格差だ。これは説明するまでもなく明白である。

  • 先進国での格差
  • 途上国での格差
  • 先進国と途上国の格差

これからの時代、こうしたテーマに人々が興味を持ち、劇場に足を運び、評価されるに違いない。そしてそれらはヒットもしくは映画祭で評価されるだろう。なぜならそれらは今の時代の人々に気づきと共感を与えるからだ。知った気になった偽善者でもいい。まずは劇場に足を運び事実を知ることが重要なのだ。

スポンサーリンク

おすすめ記事

-MOVIE

© 2020 MOVIE-CFH Powered by AFFINGER5