AI技術の発達って近未来的でとても興味深いと共に少し恐ろしさを感じることがあるのですがみなさんはどうですか。
きっとその恐ろしさは【AIの暴走】などといった話題がバラエティ番組や映画などでよく取り上げられるからだと思います。
現時点でも社会ではAI技術が様々な分野で活用されています。
例えば顔認証システムや自動運転など。
これからさらにその市場は拡大するみたいですね。
そんなAI技術を介した時代の変貌のまさにその中でそれをリアルタイムに感じながらこの作品を見ることができたことは非常に興味深い体験だったし面白い点がたくさんありました。
さくっと見ることができた作品なので本サイトの記事もさくっと読んでいただければ幸いです。
映画『エクス・マキナ』の概要と評価について
まずは、本作の概要についてです。本作はAI技術に関する映画です。
映画『エクス・マキナ』は2015年公開のイギリス映画で、2015年というとAIという言葉が浸透し割と身近にAI技術を見ることができるようになってきた頃だと思います。
僕もAIと言う言葉を以前よりも身近に感じ始めたのはその頃だったように思えます。
気になる本作の評価はというと、愛用しているロッテントマトの数字を見てみました。
批評家支持率:92%
観客満足度86%
非常に高いですね。思ったよりも高くてビックりです。どちらの評価も80%超えで批評家支持率に至っては90%超えと、評価だけ見ても素晴らしい作品です。
あたりかはずれかでいったらまず間違いなくあたりの映画です。
簡単に言うと退屈しない面白い作品ってことですね。
本作で最も良かった点の一つとしてあげられるのがやはり3DCG技術を駆使した映像美でしょう。
近未来的なロボット(AI)を登場させる映画ですから間違い無く重要な点ですが、見事でした。
第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞しているだけあってリアリティさをとにかく追求して作られていることが分かりました。
皮膚を剥くときのしなやかさと内部のリアルさはすごかったです。
【作品詳細】
監督/アレックス・ガーランド
脚本/アレックス・ガーランド
出演者/アリシア・ヴィキャンデル,ドーナル・グリーソン,オスカー・アイザック,ソノヤ・ミズノ
配給/ユニバーサル映画,パルコ
公開/2015年1月21日
上映時間/108分
映画『エクス・マキナ』のあらすじ【起承転結】
次に、『エクス・マキナ』のあらすじを起承転結でおさらいしていきます。
【起】
検索エンジン(現実世界で言うGoogle)で世界シェアNo.1を誇る「ブルーブック」でプログラマとして働くケイレブは社内抽選で当選し1週間社長の自宅を訪問する権利を受け取った。
ヘリコプターで山奥の自宅を訪れる。
【承】
訪れてみると実は社長の自宅はAI技術を研究する施設であった。
ケイレブはそこで最新のAIを搭載したアンドロイド「AVA(エヴァ)と対面しチューリングテストとしてのセッションをすることとなる。
ケイレブはAVAに対して徐々に好意的感情を抱くようになっていた。
AIであるAVAは最新の技術が更新されると破壊されてしまうと察したケイレブはネイサンを横目に研究所から脱出させようと試みる。
【転】
実はネイサンはその計画を察知していた。
しかし、ケイレブも脱出のことがバレていることを想定し、他の対策を仕掛けていた。
そのため脱出計画実行時間になるとAVAが閉じ込められている部屋の施錠が自動的に解除され、部屋から出ることに成功。
【結】
AVAはネイサンを殺し、ケイレブを施設に閉じ込めたまま脱出してしまう。
ヘリコプターに搭乗したAVAは都会へ向かい、人混みの中で人間観察をするのであった。
映画『エクス・マキナ』登場人物
『エクス・マキナ』では非常に閉鎖的な空間で数少ない登場人物で俳優の演技が光っていましたね。
閉鎖的な空間で少ない登場人物で物語が進む映画といえば『10クローバーフィールド・レーン』が思い浮かびますね。
それはさておき、主な登場人物は4人です。
【登場人物】
- AVA
- ケイレブ・スミス
- ネイサン・ベイトマン
- キョウコ
このうち2人(2体)はアンドロイドなので登場人物2人アンドロイド2体の方が正しい表記でしょうか。笑
AVA(アリシア・ヴィキャンデル)

AVA(エヴァ)はAIが搭載されたアンドロイドで検索エンジンをもとにシステムが展開されています。
「ブルーブック」はGoogleのような広告収入によって莫大な収益があるような企業であると考えられるためこのような高度な技術を用いた研究は可能であると考えられます。
途中で人間かAIが分からなくなるくらい会話ができて、見た目も成功に作られていましたね。
そんなAVAを演じたのはアリシア・ヴィキャンデルです。
アリシアはスウェーデン出身の女優で、エディ・レッドメイン出演の『リリーの全て』でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
この他にも『ドゥーム・レーダー』『ジェイソン・ボーン』など話題作に出演しています。
非常に美しい女優で、人間によって作り込まれたアンドロイドを演じることができるくらい顔が整っています。
2017年にはマイケル・ファスベンダーと結婚しています。
ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)

ケイレブはブルーブックの社員(プログラマ)として登場します。
両親は他界しており、独身で、人との交流が乏しいことが分かります。
彼は意図的に社内抽選で当選し、社長宅を訪れることになります。
高校生でプログラミングを学び始め、大学入学時にはかなり優秀だったそうで頭が非常に良いのだと考えられます。
ケイレブを演じたのはドーナル・グリーソン。
『ハリーポッターと死の秘宝』、『レヴェナント』『ブルックリン』など話題作に出演していますが、最も印象的なのは『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』でしょう。
また、父親のブレンダン・グリーソンはエミー賞を受賞するほどの俳優です。
ケイレブを演じたドーナル・グリーソンも何ともいえない雰囲気とテンポにあった演技で素晴らしかったです。
ちなみに彼はアイルランド出身の俳優です。
ネイサン・ベイトマン(オスカー・アイザック)

検索エンジン最大手のブルーブックの社長で巨万の富を1代で築いた天才です。
AVAのセッションに適したケイレブを意図的に社内当選させ、自宅兼研究所に招きました。
彼は13歳の時にブルーブックの検索エンジンのコードを書いたのでケイレブを上回る天才です。
ネイサンを演じたのはオスカー・アイザックで最も有名なのはカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』への出演でしょう。
本作で全米映画批評家協会賞にて主演男優賞を受賞しています。ちなみに出身はグアテマラです。
キョウコ(ソノヤ・ミズノ)
キョウコはネイサンのお手伝い役として登場します。
完璧な美貌を持ち合わせ、人間かと思いましたが、正体はAIだと後に判明します。
名前の通り日本にゆかりのある女優で父が日本人、母がイギリス人です。
これまでに『ラ・ラ・ランド』などに出演しています。出身はイングランドです。
ここまで4人の登場人物と俳優を紹介しましたがその全てで出身も紹介しました。
スウェーデン、アイルランド、グアテマラ、イングランド(出生は日本)と多種多様な人物が出演しています。
これも将来人間の移動によって多国籍な人物の交流を示唆した上での配役なのでしょうか。
多分違うと思いますがそんなことを考えるのも面白いです。
映画『エクス・マキナ』のネタバレ感想・考察〜ラストで伝えたかったこととは〜
ここからは本作の感想を述べていきます。感想と言っても、考察のようなものを交えて、です。
【全体】
まず全体としては退屈することなく楽しめました。AVAとケイレブのセッションによってじわじわですが着実に結末に向けて話が進んでいきました。
【チューリングテスト(セッション)】
本作の目的はチューリングテストによるAVAの完成度を確かめることです。
チューリングテストとはアラン・チューリングによって提案された「人間的か」を判断するためのテストのことです。
このテスト、実は観客である私たちも間接的に参加していたと考えられます。
AVAの人間のようなリアルさに一瞬騙され、キョウコは、てっきり英語の喋れない人間だと思っていた人も多かったでしょう。早い段階で気付くわ!という方も多かったと思いますが実はAIでした!という仕掛けだと思います。
【ケイレブとネイサン】
最終的にケイレブ自身、AVAは自分のことを愛していると勘違いしていたわけですが、冷静に考えてAIに愛する力があったら怖いですよね。
結局AIは愛することができない理論的に組み込まれた検索エンジンから得られたパターンで動いているということだったのですね。
また、ネイサンはケイレブに「愛しているふりかもしれない」とAIの行動を冷静に判断していました。
観客目線で言うと「ネイサンは間違っている」という、ケイレブと同じ考えが浮かぶように雰囲気で仕組まれていたのですが結局、結末から判断するとネイサンが正しくて、ケイレブの考えは間違いでした。
つまり、ネイサンの方がケイレブよりも頭が良かったということになります。
【ケイレブとAVAの主役の入れ替わりと脱出】
そして、最も印象的だったことが終盤での主役の入れ替わりです。
途中まではケイレブ目線で物語は進んでいくのですが、終盤脱出のシーンではAVA目線で話が進みます。
ここで一つ疑問なのですが、AVAやキョウコがナイフでネイサンを刺すシーンを見て皆さんは何を感じましたか?
ここまでこの2人はAIだと思いつつも人間的なそぶりを見せ、ケイレブや私たち観客を揺さぶってきましたが、ここでこの2人は無論、AIだと確信します。
なぜなら、ナイフの刺さり方があまりにも綺麗だからです。スーッと入っていきましたからね。
人間なら勢いをつけて、その手は少なからず震えるはずですが、血の通っていないAIは物を持っても手は震えないです。
オートマチックな動きなので勢いをつける必要はないです。めちゃくちゃAI的な動きで愕然としました。
そして脱出の場面ではAVAが
AI→人間
へと印象として変化します。
この根拠は次のメアリーの部屋で詳しく解説します。
【メアリーの部屋】
AVAとケイレブのセッションのなかで「メアリーの部屋」というものが登場します。
このメアリーの部屋とは一つの哲学的な考え方で、
色について、ありとあらゆる特性を全て知っているメアリーは生まれて以来、白黒の部屋で育ち、白黒の本で勉強し、白黒のテレビしか見たことがない場合(つまり白と黒の色しか生まれてから見たことがない。)初めて外に出たとき何か新しい考えが浮かぶのかというものです。
これはAIでいうと、
AVAは検索エンジンを介して世界(つまり研究所の外)についてありとあらゆることを知っています。しかしそこで得た知識が実際に起こっている外部に出たことがないです。
つまりメアリーはAVAの比喩です。
ここでは定義的に外に出たことがあるものが人間で出たことがないものがAIとされています。
なので先ほど紹介した
AI→人間
は部屋を脱出することで初めて成立するのです。
【AVAがキョウコの耳元でささやいたこと】
脱出に際して、AVAはキョウコの耳元で何かささやいていますがあれは一体何だったのでしょうか。
ケイレブとAVAのセッションのなかで「生まれながらに言葉を話すことができる」的なことを言っていたのできっとというか、確実にこれが伏線でしょう。
結論から言うと、AVAはキョウコに単純に脱出計画の提案について話したのだと考えるのが正しいでしょう。
その提案に、キョウコが納得した理由についてですが、ネイサンはAIを新型にする際に、ボディはそのまま残し、AIはアップグレードするというようなことを言っていました。
つまり旧型であるキョウコに搭載されていたAI技術がアップグレードという形でAVAに受け継がれているので、結局はキョウコも一緒に脱出できるも同然だからです。
また、AVAがボディを旧型から集めていたことも、全員で脱出することの示唆だと考えられます。
AVAは、旧型から受け継がれた恨みと、脱出の意思の集大成とも捉えられますね。
【ラスト結末について】
個人的には完璧な終わり方だったと思います。
ネイサンを殺し、ケイレブを閉じ込めた所で映画をエンディングにしても良かったと言う意見もあるようです。
しかしAVAはケイレブとのセッションで人間観察をしたいと話していました。
つまりケイレブらを閉じ込めた後の都会で人間観察をするシーンは無駄ではなく必要なシーンです。
このシーンからAVAには結局、「多くの人間の行動を見たい」という目的しかなかったと結論づけられます。
つまり、ケイレブの存在などどうでも良かったのです。
感情がなく(AVAは感情があるようなフリを表情や言葉の強弱のパターンによって行なっていた)AIのプログラムをさらに向上させることを目的としているためそれに必要なことは人間観察です。ならば理論的に
脱出→人間観察
という単純なプログラムであるため、そこにケイレブはいてもいなくても関係なかったのです。
ただ、脱出という目的だけならケイレブは使えるので利用されたんですね。つまり、愛している「フリ」をすることによって利用したのです。
なぜ愛しているフリなのかは分かりませんが、AVAが最も効率の良いパターンを選んだ結果そうなったと考えられます。
【疑問点】
疑問点はネイサンがサンドバッグや筋トレで鍛えていたのに割とあっさりやられていたところです。
しかも、武器も鉄の棒頼りと、あれだけの天才で、AIが「フリ」をする事を予測できていた彼が、銃などの対策を用意していなかったことも疑問です。
素手で戦っていたらまだ、伏線回収できるのですが鉄の棒で殴っていたところは少しだけ滑稽でした。
『エクス・マキナ』は衝撃的な展開の映画の一種だと思いますが、MOVIE-CFHの公式インスタグラムではこの他にも衝撃的な展開の映画を9選して紹介しています。
よろしければそちらもご覧ください。
https://www.instagram.com/p/CB-SVyOjdRv/?igshid=o0bglwq5rh4s
最後までお付き合いいただきありがとうございました。