『ビューティフル・マインド』を観て感じました。
「こんな映画が見たかった」
と。
なんだかしんみりした映画が多分僕は好きなんだと思います。
やっぱり退屈なシーンのほとんどない映画ってあんまりないと思うんですよね。
退屈でない作品って脚本がしっかりしていますよね。あとはめちゃくちゃ感情移入しちゃう映画。
本作もなんだか観ていて全く飽きることなく、人物を追いかけることができたのでとても満足度の高い映画でした。
映画の感想と考察をすると共に、豆知識も一緒に紹介していきます。
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映画『ビューティフル・マインド』あらすじ

まずはあらすじを起承転結で大まかにあらすじを紹介しておきます。
実話を元にしている作品なのでしっかりとまとまっていました。
【起】
ジョン・ナッシュは1947年プリンストン大学院に入学します。彼の欲求はただ一つ、「この世の全てを支配する心理を見つける」こと。1人研究に没頭し、彼はゲーム理論という画期的な手法を発見。
その後MITの職員として働き始め、生徒だったアリシアと結婚し子も授かりました。
また、29歳の若さでMITの終身職員の権利を勝ち取ります。
【承】
ナッシュはこの頃から米ソ冷戦下の暗号解読員として組織の極秘任務に利用され始めます。
【転】
しかしこの極秘任務は彼の患っていた統合失調症の症状で起こる強い幻覚であることが発覚。
もちろん実際にはそんな組織は存在しませんでした。
ここから彼の壮絶な闘病生活がスタートします。
ほとんど絶望のような日々でしたが、アリシアの支えもあって徐々に症状は落ち着き始めます。
【結】
1994年、ゲーム理論による功績によってノーベル経済学賞を受賞。
ナッシュはこの功績はアリシアの支えのおかげだと述べました。
『ビューティフル・マインド』登場人物キャスト
ビューティフル・マインドには主にジョン・ナッシュと彼を支え続けたアリシアが登場しました。
ジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)

ジョン・ナッシュは、アメリカの数学者でゲーム理論や微分幾何学、偏微分方程式などで有名です。
一時は統合失調症に悩まされながらもゲーム理論の経済学への功績が讃えられ、1994年にノーベル経済学賞を受賞しました。
彼を演じたのはオスカー俳優のラッセル・クロウ。2000年に公開の『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞を受賞しています。
他にも代表作として『インサイダー』が挙げられ、『ビューティフル・マインド』同様に実話を描いた作品です。彼は実話に強い俳優なのかもしれませんね。
アリシア・ナッシュ(ジェニファー・コネリー)

アリシアは元々はナッシュの生徒で、彼と結婚します。
ナッシュとの間に子を授かるものののちに離婚しています。
離婚したとはいえ、統合失調症を患うナッシュを懸命に支え続けました。
アリシアはナッシュの病気が良くなったのは彼を受け入れてくれたプリンストン大学数学科のサポートや周りの支えによる「静かな生活」のおかげだとしています。
彼女を演じたのはジェニファー・コネリーで本作に出演したことでアカデミー助演女優賞を受賞しています。
彼女の演技によってアリシアに非常に感情移入することができたので納得ですね。
ちなみに本作でナッシュの幻覚の中に出てくるルームメイト役として出演したポール・ベタニーと2002年に結婚しています。
『ビューティフル・マインド』【ネタバレ感想・レビュー】
『ビューティフル・マインド』で最も良かったことはアリシアに感情移入しやすかったことです。
人間の感情に訴えかけるドラマ映画で最も重要なポイントはやはり、どれだけ観客に感情移入してもらうかだと思います。
その点、主人公、ここでいうナッシュに感情移入させることが普通ですが、彼に感情移入することはさすがにできませんよね。
後半、彼は自身の統合失調症を理解し、幻覚を認知して正気な自分との狭間で戦っていましたので、彼の葛藤を感じることはできたし、彼がかわいそうだと思いました。
しかし実際にはどのような気持ちなのかはわかりませんでした。統合失調症という病を患っていることは特殊な事例ですし一般的ではないので、患ってみないとどんな気持ちかわからないですよね。
一方、アリシアは彼のことを、時にくじけそうになりながらも懸命に支えていました。
きっと観客は皆、アリシア目線だったと思います。
「統合失調症って一体どんな病気なんだろう」
「何故そうなってしまうのだろうか」
「常軌を逸した行動が理解できない」
彼女の辛さ、苦しさを感じました。
日常生活であまり触れることのない私たちにとっては未知の病なのでアリシアと同じく動揺していたことでしょう。
僕も実際「なぜそんな行動をとってしまうのだろうか。自分には理解できないな」と感じました。
映画を観ただけで理解できたということはできないし、それは失礼にあたると思うのですが、それだけ統合失調症は当事者も、その周りの人々にとっても辛いものだということも実感できました。
同時に、それほど辛いであろう状況に置かれていても彼を支え続けたアリシアはとても力強い女性なんだなと思いました。
寄り添い続けた理由は彼を愛し続けていたからなのではないかと思います。
だとしたらこの映画は究極の愛の物語だとも言えるのではないでしょうか。彼を支え続けた裏には彼を愛し続けていたアリシアがいたからだと思います。
本作を観て『シャッター・アイランド』を思い出しました。あまり言うとネタバレになるので控えますがとても面白い映画なのでそちらもおすすめです。
『ビューティフル・マインド』で最も印象的だったシーンはやはりジョン・ナッシュがノーベル賞を受賞した最後の場面です。
あのシーンには誰かの手によって救われた人間が2人写っていました。
言わずもがなナッシュとアリシアです。
ナッシュは統合失調症から回復した上に、ノーベル経済学賞というこの上ない功績を称えられ名誉を受けとりました。
彼を人生のどん底から救ったのは献身的にナッシュを支え続けたアリシアです。
また、アリシアも救われました。
なぜなら統合失調症でもうダメだと一度は諦めかけた存在を回復させ、ノーベル経済学賞という賞を受賞する際にその功績はアリシアのおかげだと言われたからです。
そのナッシュの言葉に救われ、彼女の献身的な支えは無駄ではなかったのだと実感できた瞬間だったでしょう。
本作ではアリシアという女性の偉大さと、ナッシュとの間の「愛」というものの本当の素晴らしさを実感しました。
ジョン・ナッシュが患った統合失調症とは
ジョン・ナッシュは劇中でも語られていましたが、統合失調症を患っていました。
定かではありませんがナッシュはリーマン予想の難解さゆえに統合失調症を発病してしまったとも言われています。
この統合失調症とはいったいどのような病気なのでしょうか。調べてみると、厚生労働省のホームページに詳しく載っていました。
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。
多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。
新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました(WHO 2001)。
以前は「精神分裂病」が正式の病名でしたが、「統合失調症」へと名称変更されました。
厚生労働省ホームページ
ナッシュのように強い幻覚が現れる人もいるようです。
彼が統合失調症から回復に向かったように、現在では回復の見込める病気であるようです。
「ビューティフル・マインド」の意味とは
ビューティフル・マインドとは英語で
beautiful mind
直訳すると、「美しい心」です。
ジョン・ナッシュが心の病を患っていたこともあり、本作は人間の心情に深く触れる作品であったと言えます。
そのような困難の中でも愛し合った2人の心の美しさを描きたかったのかも知れませんね。
【作品情報】
監督/ロン・ハワード
脚本/アキヴァ・ゴールズマン
原作/シルヴィア・ネイサー
出演者/ラッセル・クロウ,エド・ハリス,ジェニファー・コネリー,ポール・ベタニー,アダム・ゴールドバーグ,ジャド・ハーシュ,ジョシュ・ルーカス,アンソニー・ラップ,クリストファー・プラマー
公開/2001年12月31日
上映時間/135分
【主な受賞歴】
〈アカデミー賞〉
- 作品賞
- 監督賞
- 助演女優賞
- 脚色賞
〈ゴールデングローブ賞〉
- 作品賞
- 脚本賞
- 主演男優賞
- 助演女優賞